SNSマーケティングで注意すべきポイントとは?
失敗事例から学ぶ原因と対策
SNSマーケティングは、お金をかけなくても始められる点や、SNSを扱える環境があればすぐに始められる点などから、実施が容易なマーケティング施策です。
一方で、SNSマーケティングで期待する成果が出ない・炎上騒動に発展してしまうなど、失敗に終わる事例も少なくありません。SNSマーケティングを成功させるためには、いくつか気を付けるべきポイントがあります。
この記事では、SNSマーケティングの概要や注目される理由とともに、SNSマーケティングの失敗事例を紹介します。失敗しないためのポイントも解説するので、これから SNSマーケティングを始めたい方や、SNSマーケティングの運用がうまくいっていない方は、参考にしてください。
SNSマーケティングとはなにか?
失敗事例を見る前に、SNSマーケティングについての理解を深めましょう。
ここでは、SNSマーケティングの概要や、代表的なプラットフォーム・手法、SNSマーケティングが注目される理由などを解説します。
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SNSマーケティングとは
SNSマーケティングは、SNS(Social Networking Service:ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の強みを活かしたマーケティング施策です。
情報拡散力に優れたSNSを通じてユーザーにアプローチすることで、企業や商品・サービスの認知度向上、ブランディング、売上増加などを目指します。 -
SNSマーケティングとソーシャルメディアマーケティングの違い
SNSマーケティングと混同されやすいマーケティング手法に、「ソーシャルメディアマーケティング」があります。ソーシャルメディアとは、インターネット上で、個人(同士)が情報発信やコミュニケーションを図れるメディアのことです。
ソーシャルメディアには、自社サイトや個人ブログ、動画共有サイト、口コミサイトなどのほか、SNSも含まれます。したがって、SNSマーケティングとソーシャルメディアマーケティングの違いは、活用するメディアをSNSに限定するか・しないかという点にあります。
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代表的なSNSプラットフォーム
SNSマーケティングで活用されるおもなプラットフォームは、次の6つです。
LINE 日本国内で最も利用されているメッセージツールで、幅広い年代のユーザーがいます。クローズドな環境で1対1のコミュニケーションがとれるのが特徴です。
企業は、無料スタンプの贈呈を条件に、「友だち」への追加をユーザーに促せます。Twitter 全角140文字までの文章を投稿できる、テキストベースのSNSです。10~20代の若年層だけでなく、30~50代の利用者も多くいます。SNSのなかでも特に、リアルタイムの情報収集力・拡散力に優れているのが特徴でしょう。企業のほか、政府や地方自治体などの公的機関もTwitterを活用しています。Instagram 写真や動画といったビジュアルコンテンツを楽しむSNSで、インフルエンサーマーケティング(※後述)のおもなプラットフォームでもあります。特に 20~30代の利用率が高く、最近では男性ユーザーも増えているのが特徴です。
ハッシュタグ検索機能により、情報収集ツールとして活用しているユーザーも多くいます。Facebook 原則として実名で登録することから、リアルでの知り合いとつながりやすい SNS です。
ビジネス向けの機能が充実しており、30~50代のビジネスマンの利用者が多いのが特徴です。他のSNSと比べると、やや閉鎖的といえるかもしれません。YouTube Googleが提供する動画配信プラットフォームで、配信者・視聴者ともに幅広い層がいます。
音楽・ゲーム・バラエティ・グルメ・ペット・スポーツなど、人気ジャンルも多岐にわたるため、マーケティング施策の幅も広がりやすいでしょう。TikTok ショートムービーを配信できるSNSで、10~20代から圧倒的な人気があります。
TikTokがおすすめするトレンドに乗れると、短期間で爆発的な拡散が期待できます。 -
SNSマーケティングの手法
SNSマーケティングのおもな手法は、次の 5 つです。
SNSアカウント運用 公式アカウントを開設し、自社商品・サービスに関する情報発信や、ユーザーとのコミュニケーションを行なう手法です。
「企業対消費者」の関係ではなく、「個人対個人」の関係での運用により、ファンを獲得しやすいのがメリットです。
自社商品・サービスに興味があるユーザーを、自社のホームページやECサイトへ誘導する導線としても活用できます。SNS広告 各SNSの広告配信サービスを活用し、SNS上に広告を出稿する手法です。
SNS広告は、ユーザーがアカウントを作成する際に登録した情報(年齢・性別・趣味など)と、ユーザーのSNS上の行動(いいね・シェアなど)をもとに配信できます。精度の高いターゲティングができるため、効果的な訴求が可能です。SNSキャンペーン SNSを通じたユーザー参加型のキャンペーン施策です。例えば、「自社商品を使用した感想を、指定のハッシュタグを付けて投稿する」「自社アカウントをフォローしたうえで、新サービスに関する指定の投稿をリツイートする」のように、目的に応じた参加条件を設定できます。
抽選でプレゼントが当たるなどの特典を用意すれば、多くのユーザーの参加が見込めるでしょう。ソーシャルリスニング SNSを通じて、ユーザーの意見を収集する手法です。収集した意見は、新商品の開発やサービスの改善、トレンドの予測、競合の分析などに活かせます。
ソーシャルリスニングは、アンケートと比べ、率直でリアルな声を把握しやすいのがメリットです。インフルエンサーマー
ケティングインフルエンサーとは、SNS上で影響力を持つ人物のことです。インフルエンサーマーケティングでは、インフルエンサ
ーに自社商品・サービスをPRしてもらい、ユーザーの興味関心や購買意欲を高めます。
インフルエンサーマーケティングの成功には、訴求する商品・サービスと親和性の高いインフルエンサーを選ぶことが欠かせません。 -
SNSマーケティングが注目される理由
SNSマーケティングが注目される理由に、「SNS利用者の増加」が挙げられます。
総務省が公表した「令和3年通信利用動向調査の結果」によると、SNSを利用する個人の割合はほとんどの年齢階層で増加しており、全体で78.7%に達しています。なかでも60~79歳の伸びが大きいなど、年齢に関係なく多くの方が、日常的にSNSを利用していることがわかるでしょう。
SNSは情報検索手段としても使われていることから、ターゲットへ自社商品・サービスの情報を効果的に届けるために、企業もSNSの活用が欠かせなくなっています。SNSマーケティングを実施すれば、先述のとおり、企業や商品・サービスの認知度向上、ブランディング、売上増加などを目指せます。
また、ユーザーとの交流を深めると、「顧客ロイヤリティ」の向上も期待できます。顧客ロイヤリティとは、ユーザーが企業や商品・サービスに対して感じる「信頼」や「愛着」のことです。それらが高まると、一時的な売上増加だけでなく、リピーターの増加、顧客単価の向上、ポジティブな評判の拡散が見込めます。
出典:総務省 令和3年通信利用動向調査の結果
SNS マーケティングの失敗事例
ここでは、SNSマーケティングの失敗事例を2つ紹介します。
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某自動車メーカー
1つ目は、Twitter で自社アカウントを運用している某自動車メーカーの事例です。
Twitter には投票(アンケート)機能が搭載されており、アンケートの実施者が質問と回答項目を決めてツイートすると、ユーザーは該当項目をタップするだけで回答できます。
同社では、投票機能を活用してアンケートを実施しようとしましたが、質問の表現に不適切な点がありました。具体的には、同社が「女性は男性よりも運転が苦手・下手」と考えているかのような表現です。
アンケートを目にしたユーザーから批判が集まったため、アンケートの中止とともに、謝罪する結果となりました。
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某ハンバーガーチェーン
2つ目は、某ハンバーガーチェーン運営会社の事例です。
同社では、Twitterでハッシュタグキャンペーンを実施しました。指定したハッシュタグを付けて、来店したときや商品を食べたときのポジティブなエピソードを投稿してもらうのが目的です。
しかし実際には、店舗や商品の衛生面・安全性を疑問視する内容の投稿など、ネガティブなエピソードが多数集まってしまいました。
投稿内容の真偽は不明であるとはいえ、ネガティブな内容の投稿を見た他のユーザーは、良い印象を受けません。キャンペーンに参加するのは、その企業や商品のファンだけではないことを考慮し、実施方法を設計する必要があります。
失敗しないために押さえておくべきポイント
SNSマーケティングで失敗しないためには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。ここでは、押さえておくべきポイントを「戦略設計」と「運用体制」の観点から解説します。
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戦略設計
SNSマーケティングに着手する前に、施策の目的や目標を明確にしましょう。
「多くの企業が実施しているから」という理由でなんとなく始めてしまうと、失敗する可能性が高くなります。自社の現状を分析し、認知度・ブランディング・売上など、どの点に課題があるのか考えてみてください。
目的や目標が定まったら、SNSマーケティングを実施するプラットフォームや手法を選択します。
SNSごとに主要ユーザー層や強みが異なるため、ブランドや商品・サービスのターゲットに最も適したプラットフォームを選ぶことが重要です。戦略によっては、複数の手法を組み合わせるケースもあるでしょう。
さらに、フォロワー数やエンゲージメント率をはじめとする「KPI」の設定も必要です。KPI(Key Performance Indicator)とは、最終目標を達成するために、各フェーズにおける中間目標の達成度合いを測る指標のことです。
KPIを設定しないと、より力を入れるべき点や改善点などが見えず、施策の方向性がわからなくなってしまいます。
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運用体制
多くの企業が SNS マーケティングに取り組んでいる分、投稿やキャンペーンなどの内容には工夫が求められます。
ユーザーに「自社アカウントをフォローし続けたい」「積極的にキャンペーンに参加したい」と思ってもらうためには、質を落とさず運用しなければなりません。KPI の達成状況などを見ながら、PDCA サイクルを回しましょう。
また、失敗事例からもわかるとおり、SNS マーケティングは炎上リスクをともないます。リスクを減らすために、明確な裏付けがない話題・センシティブな話題は避けることをおすすめします。
併せて、担当者の独断で投稿内容を決めるのではなく、不適切な表現がないか複数人でのチェック体制を整えておくと安心です公正な立場を心がける。
まとめ
SNSマーケティングは、ソーシャルメディアの一つであるSNSを活用し、企業や商品・サービスの認知度向上、ブランディング、売上増加などを目指すマーケティング施策です。SNS利用者の増加を背景に、SNSマーケティングを実施する企業は増えています。
しかし、SNSマーケティングの目的やターゲットが曖昧だったり、炎上リスクへの備えや運用体制の構築が不十分だったりすると、失敗する確率は高くなるでしょう。
SNS マーケティングを成功させるためには、目的やターゲットに合うプラットフォーム・手法を選択することや、KPIを設定して現状を分析しながら進めることが大切です。また、PDCAサイクルを回しながら質の高い運用を継続するとともに、炎上リスクへの備えも忘れずに行なってください。
今回紹介した内容を参考に、効果的なSNSマーケティングを実践しましょう。