D2Cブランドは、定義上、仲介業者を省く仕組みであるため、高品質な商品を安価で提供することができます。
しかし、価格を下げすぎてしまうのは、ビジネス上利益に繋がりにくいだけでなく、“安っぽい”というブランドイメージを持たれてしまうため、リスキーです。
それでは、D2Cブランドはどのように価格を設定したらよいのでしょうか?
大事なポイントは3つあります。
1.市場においてニッチなポジション取りをすること
2.顧客の期待に価格を合わせること
3.成長するにつれて価格決定戦略を修正すること
新しくブランドを立ち上げる際や新たな事業に参入する際、商品価格を決定する前に、業界の市場の状況を見て、どこに成長の余地があり、どこに激しい競争があるのかを確かめることは重要です。
業界に早期に参入することは、商品に顧客がいくら払う気があるかについて知見が少ないといったリスクはある一方、市場にまだ競争が少なく自社のニーズに合わせて自由に商品価格を設定することができます。
また、もう一つ考慮すべきことはブランドの目指す利益です。ブランドは生産費用だけでなく、オペレーション費用やマーケティング費用も捻出しなければなりません。最低限の出費は必要ですが、必要以上に出費を膨らませてはいけません。
現代では顧客との間の透明性が大事な価値となっており、ブランドは顧客に最大限の価値を提供しなければなりません。それは、本来のビジョンと希望の最適価格を実現するような商品を作るための、最も良い素材の取捨選択の作業です。そのために、ブランドは満足できるサプライヤーが見つかるまで探し回らなければなりません。価格や品質で妥協すれば、顧客に見抜かれます。
業界がD2Cというモデルにシフトしていく中であっても、高すぎる価格設定は値引きの悪循環に繋がるということに変わりはありません。顧客のニーズを考慮せず自社の利益を追求し価格を上げるブランドは、結局在庫を売り切るために、値引きをすることになります。顧客は安売りの味を知って、定価で買わなくなり、ブランドは値引きのサイクルから抜け出せなくなります。
この悪循環に陥ると、ブランドの品位を落とすことになります。価格を決める際には顧客の期待や反応を考慮することが重要です。
一方、顧客の期待に応え価格設定を低くしすぎると、低品質な商品というブランドイメージを顧客に持たれてしまいます。もっとお金を出せば、もっと質の良い商品を手にするということを顧客に知らせるために、商品の特徴やブランドの品質を顧客に教え込む努力を怠ってはいけないのです。
D2Cブランドが成長し、商品ラインナップを拡大させ、新たな販売チャネルを増やすときには、商品の価格設定モデルを従来のものから変えることが重要です。一つの商品カテゴリーで機能した価格設定は別の商品カテゴリーで機能するとは限らないからです。品目やチャネルを増やすということは、全体の利益に対する事業ごとの割合やチャネルごとのコストに変化が生じるため、新しいビジネスに応じたプランを組み直さなければいけません。
また、「手ごろさ」とは、必ずしも低価格を意味する訳ではなく、商品構造や顧客へのエンドバリューを反映したものであるべきです。そして、高所得者向けの商品ラインナップを増やすことは、単に商品の価格を上げて“高い”ブランドになることではありません。それは、顧客に高い付加価値を提供するために、コストが最も安く済む方法を探し出すことなのです。ブランドは手ごろな価格を保ちながら、常に商品の特徴や機能性、質を高めなければなりません。
※本記事は、「Communicating Value Beyond Price | Yotpo」の翻訳・加筆しています。